デスクトップナノ粒子生成装置
デスクトップナノ粒子生成装置は、VSparticle社が開発したスパークアブレーション技術により高純度微粒子を生成する研究開発向けドライタイプのナノ粒子生成装置です。
ガス流量、スパークエネルギー、スパーク周波数を調整することにより、20nm以下の無機ナノ粒子をサイズ、純度、粒子成分コントロールの下、生成可能です。
(YouTube 3:36)
ナノ粒子とは
物質をナノメートルのオーダーの粒子にしたものです。
比表面積が極めて大きいこと、量子サイズ効果によって特有の物性を示すことなど、一般的な個体の材料とは異なることから、燃料電池をはじめ触媒として利用される他、半導体のナノワイヤー、量子ドット、医療・バイオ・食品ではナノコロイド等、様々な分野で活用されます
現状のナノ粒子研究の課題は、研究者がナノ粒子の生成に多くの時間を費やし本質であるその研究にかける時間が限られることや、研究開発ステージから大量生産への技術移行等に課題があります。
他製法との比較
液相による還元法 |
Vsparticle社製
デスクトップナノ粒子生成装置 |
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プロセス | ウェット(液相) | ドライ(気相) |
粒子サイズ | 制御不可 | 制御可 |
純度 | 界面活性剤, 有機不純物等の 使用により低純度 |
高純度 |
プロセス簡易性 | 中間ステップが必要でコスト高 | シンプル |
多様性 | 各粒子により異なるプロセス | すべての(半)導体に適用可 |
消耗材 | 化学廃液 | 化学廃液無 |
製品への展開 | 溶剤の蒸発が必要 | 気相から容易に使用可能 |
デスクトップナノ粒子生成装置の特徴
1.スパークアブレーションのドライ技術により、高純度のナノ粒子を生成
以下の手順でナノ粒子を生成します。
1.粒子源となる電極をセットします。
2.不活性ガスを導入し、高電圧によりスパークさせます。
3.ナノ粒子が発生します。
ナノ粒子の作製方法
(YouTube 1:44)
ナノ粒子の作製(Diffusion)
(YouTube 2:04)
VSP G-1ナノ粒子生成アニメーション
(YouTube 2:28)
2.ガス流量、スパーク電圧、スパーク周波数の調整により、単一電子~20nmの粒子サイズ、純度、成分のコントロールが可能
3.多くの金属、合金、酸化膜等の生成が可能
<対応可能元素(緑色部)>
4.密閉した反応室の構成で、アブレーションエリアではポリマー系材料を採用していない為、高純度な粒子生成を実現
5.コンパクトな卓上タイプで研究開発向けに最適
6.解体が容易な装置構成によりクリーニング、メンテナンスも容易に可能
7.不活性ガス使用により自発発火防止等の安全性も考慮
8.ナノ粒子の生成→粒子サイズの選択→積層による最終製品へ適応可能な一連システムを提案
9.生成したナノ粒子を容易に積層させる専用アクセサリーも提供可能
目的に応じた3種類のアクセサリー、1)ディフュージョン、2)インパクション3)フィルトレーションを準備しております。
1)ディフュージョン
このアクセサリーは、ブラウン拡散の原理により、TEMグリッド、in-situ TEMチップ、その他MEMSチップやSiOx表面上に,0-10nm粒子を均一に積層させることが可能です。最大表面積は1cm2で、粒子調製時間により0-10%の表面被覆率です。
2)インパクション
このアクセサリーはTEMグリッド、in-situ TEMチップ、その他MEMSチップやSiOx表面上に、ナノ構造材料を積層させることが可能です。最大の機能表面積は1cm2で、標準的なサンプル準備期間は1~5分です。
3)フィルトレーション
このアクセサリーは、活性化表面研究開発を目的に、フィルター膜上に微小粒子及び粒子凝集を積層させることが可能です。例えば、触媒粒子を有するカーボンメッシュ支持体を飾ることやメンブレンフィルター中で粒子を捕獲することに使用可能です。最大フィルター径は47mmです。
4)S-1(サイズセレクション)
VSP-S1は、VSP-G1に簡単に接続できる卓上型のナノ粒子サイズセレクターです。
これらを組み合わせることで最小限の労力でサイズを選択した無機ナノ粒子(1〜10nm)サンプルの自動生成が可能になります。
任意の材料のサイズを選択してサンプルの準備が整うのを待つだけでご希望のサイズのナノ粒子を生成できます。
VSP-P1はナノ構造材料プリンターです。
これは材料開発と小規模生産テストのための究極の試作およびR&Dプラットフォームです。
この新しい積層造形の方法により、表面積の高いナノポーラス薄膜および層の製造を大幅に簡素化できます。
6)PC(パウダーコーター)
VSP-PCは粉体へナノ粒子をコーティングすることを可能にします。
お持ちの100μmサイズの粉体をセットしてご希望の1~20nmサイズのナノ粒子材料をコーティングすることができます。
デスクトップナノ粒子生成装置の仕様
- ユニット仕様
- 操作仕様
- 外部端子回路
ユニット仕様
供給電圧 | 110-240Vac、50-60Hz |
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電力 | 175 V-A |
サイズ | ケース:長さ52x幅30x高さ20cm、反応室:高さ10cm追加 |
重量 | ベースユニット:16kg、反応室:6kg、マウントプレート:3kg |
ガス入出力端子 | 10mmチューブ(Swagelokコネクター付き) |
ディスプレイ | 16文字 x 2列(必要に応じ、日本語表示有) |
デジタル出力 | RS232 |
操作仕様
動作圧力 | 大気圧 |
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動作温度 | 室温 |
フローレート | 1-30 L/min |
ガス種 | Ar、N2等 (air、H22の反応性ガスは要相談) |
電極材 | 上記適応材料 |
粒子サイズ | 1atm~20nm |
アブレーションレート | ~0.01-100 mg/h(電極材による) |
密度 | 108-1011 cm-3 |
外部端子回路
ターミナル | RS-232 |
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コネクタ | F-DE9 (sub-D、9 pin) |
仕様 | RS-232、ピン2,3,5のみ接続 |
定格電圧 | 絶縁2.5kV |
デスクトップナノ粒子生成装置の用途(例)
- 触媒
- エレクトロニクス、センサ
- バッテリー
- ヘルスケア
- 太陽電池
- コーティング
- 吸入研究
- エアロゾル科学
- ナノ毒物学
- フィルターテスト
- その他
データ
Arガスレート水準(7W)(粒子サイズ選択無)
Arガス流量レートを上げることにより平均パーティクルサイズが減少し、分布も狭くなります。
電圧水準 (5.0mA, 3.3slpm)(粒子サイズ選択無)
電極電圧を上げると、スパークエネルギーが上昇します。 これはバルクからより粒子を取り出せることを意味し、粒子出力向上を示します。
電流水準 (1.3kV, 3.3slmp)(粒子サイズ選択無)
電流を増加させるとスパーク周波数が上がります。より多くのスパークが発生し、粒子数が向上します。
Cu, 12.5slpm, Ar(粒子サイズ5nm)
スパーク発生100秒後、ファラデーカップで粒子を検出しています。
平均値(t2000-t100):-0.377pA (stdv2.1%)
粒子はファラデーカップで検出し、電流値はキースレイ社電位計で計測し、その値は粒子数に比例します。