DNA採取キット Oragene®・DISCOVERよくある質問と回答
採取
- DNA収量はどのくらいですか
- 208サンプルを対象にした実験では、唾液2mlから得られるDNA収量の中央値は110µg、平均は100µgでした。そのうち第一四分位数は62µg、第三四分位数は158µgでした。全体の収量範囲は10~375µgまで及びました。(参考データPDF)
- DNA収量を測定する推奨方法はありますか
- 二重螺旋構造であるDNAに結合するSYBR GreenやPico Green(分子プローブ)などの蛍光色素を用いた測定を推奨します。吸光度計による測定はDNAとともに精製されてしまうRNA量も測定してしまい、DNA収量を過大に定量してしまう可能性があります。吸光度計による測定は相対的にみると精度は低いですがPCRやその他のアプリケーションに対しては十分問題のない精度の測定です。(参考データPDF)
- 実際に得られたDNA収量は報告されている中央値110µgよりも少ない値になってしまいましたがこれはなぜですか
- 唾液中のDNA量は大きく変動します。同じドナーから得られる唾液中のDNA量も日によって変動いたします。また精製方法によっても、得られるDNA収量はことなります。カラムやビーズベースなどの一部の精製方法では結合容量を超過する場合があり、Orageneにより採取されたDNAが全量回収できず収量が低くなる可能性もございます。通常マニュアルで精製溶液を使用した方法ではそのロスは少なくなります。
- DNA収量を増やすためにはどうすれば良いですか
- 採取された唾液が2ml未満の場合、収量が減ります。DNA収量を上げるには少なくとも2mlの唾液を採取するようにしてください。(参考データPDF)
- 唾液が2mL前後の採取量でも、Orageneはその量に対応できますか
- 対応します。Oragene唾液採取キットに含まれている保存溶液は、1.5~2.5mLの唾液に対応するように作られております。
- 唾液中の主なDNA源は何ですか
- DNA源は口腔内細胞及び白血球細胞が主なDNA源です。
- 唾液を吐くことができない乳児や幼児の唾液はどうやって採取すればよいですか
- 姉妹品のスポンジ付きOragene OG-575をお試しください。
- 犬、馬、牛やほかの動物から唾液はどうやって採取すればよいですか
- 動物用のDNA採取キット、PERFORMAgene(PG-100)などがございます。
- Orageneサンプルにはどのくらいの細菌由来のDNAが含まれていますか
- 細菌16S rRNAプライマーを用いたリアルタイムPCRの測定によると、細菌DNAは、中央値で11.8%含まれていました。それに比べてマウスウォッシュでは細菌DNAが50%ほど、また綿棒による方法では約90%含まれております。Orageneに含まれる細菌DNA量は少ないので、その後のアプリケーションへ影響しません。(参考データPDF)
保存
- Oragene・DNAで採取されたサンプルは何℃で保存すれば良いですか
- Oragene・DNAで採取された検体は室温(15~30℃)で安定的に保存することができます。長期間保存する場合は、保存溶液の蒸発を防ぐため-20℃または-80℃で凍結することを推奨いたします。凍結する場合は検体(保存溶液含む)をクライオチューブへ移し替えるようお願いいたします。 (参考データPDF)
- 凍結した唾液サンプルは解凍、凍結を繰り返すことはできますか
- 少なくとも3回の凍結、解凍ではDNAが劣化しないことが確認されています。(参考データPDF)
精製
- 精製されたDNAのA260/280率が低いのですが、改善するためにはどうすれば良いですか
- Oragene・DNAで採取されたサンプルを、エタノール沈殿による精製をしたDNAは、1.6~1.9までの範囲内のA260/280率を得られるはずです。低い場合は、以下のトラブルシューティングを試してみてください。
(1) 精製前にサンプルを50℃で最低1時間以上インキュベートしてください。
(2) Oragene・DNAのサンプルを精製する際、最初の遠心分離のステップ後、タンパク質が含まれている沈殿物を取り込まないように注意してください。
(3) 使用している分光光度計は、A260とA280の値からA320の値(A320の値はサンプルの濁度を示しています)を差し引いていることを確認してください。
(4) A260、A280の値はそれぞれ0.1~1.0の範囲内であることを確認してください。 A260/A280率を向上させるための方法の詳細については、こちらから参照してください。(参考データPDF)
- DNAgenotek製の精製溶液以外で精製することはできますか
- フェノール/クロロホルム抽出法やQIAamp(Qiagene)(参考データPDF)やPUREGENE(Gentra)(参考データPDF)など市販キットで抽出精製することが可能です。
- 自動抽出装置でDNAを抽出精製することはできますか
- 可能です。BioRobot EZ1(Qiagen)(参考データPDF)、AutoPure(Gentra)(参考データPDF)、Magtration12GC(PSS Bio)(参考データPDF)、MagNA Pure LC(Roche)やその他の装置でも精製した実績があります。
- 精製したDNAを電気泳動にかけるとゲルの下の方に大きなにじみができます。これは分解されたDNAなのでしょうか
- 低分子量のRNAです。
- サンプルからRNAを取り除くことはできますか
-
可能です。(参考データPDF)
- 他の抽出方法を利用する場合でも、50℃で1時間以上サンプルをインキュベートする必要がありますか
- 必要です。Oragene・DNAで採取されたDNAサンプルは、50℃で恒温槽では2時間以上、ウォーターバスでは1時間以上インキュベートする必要があります。
アプリケーション
- どのアプリケーションでもOrageneで得られたDNAが使用できますか
- PCR、リアルタイムPCR、multiplex PCR、SNPジェノタイピング、マイクロアレイ、シークエンシング、RFLPの他、多くのアプリケーションに適しています。
- Oragene・DNAから得られたDNAは、全ゲノム増幅(WGA)に使用できますか
- 可能です。Oragene・DNAから得られたDNAは、GenomiPhi(GE Healthcare)(参考データPDF)、REPLI-g(Qiagen)(参考データPDF)、GenomePlex(Sigma-Aldrich)(参考データPDF)など市販されているWGAキットのテンプレートとして利用することができます。
- Orageneで得られたサンプルに含まれる細菌DNAはアプリケーションに影響しますか
- Orageneで得られたサンプルに含まれる細菌DNA量は微量であり、またPCRベース技術の精度が高いため、血液由来のDNAと変わらないアプリケーション結果を得ることができます。SNPジェノタイピングにおいて、Orageneにより得られた唾液サンプルは血液サンプルと同程度であると示されています。またアフィメトリックスのSNPマイクロアレイにおいても、唾液サンプルが血液からのDNAと同一であると示されています。
- Orageneで得られたDNAをアフィメトリクスまたはイルミナのチップに利用するときの推奨方法はありますか
- アフィメトリクス、イルミナのチップの場合は、Oragene DNAをOragene 精製溶液でDNAの抽出精製を行い(参考データPDF)、さらに下記の方法を実施します。 上記参考データプロトコルでは、最終的に得られたDNAの沈殿を100µlの水またはTEバッファーに溶解していますが、これを50µlで溶解します。これでDNA濃度が上がりアレイチップにより適したサンプルとして利用することができます。さらにSybrGreenやPicogreenを利用して精製されたDNAの量を確認してください。(参考データPDF)