スペインチーズ : スペイン各地のチーズ(ケソ) - 羊乳(マンチェゴ他)、山羊乳(イボレス他)、牛乳(テティージャ他)、混乳(イベリコ他)を紹介するサイト。 スペイン料理、タパスに欠かせないスペインのチーズ

スペイン料理、タパスに欠かせない!スペインチーズ(ケソ)「スペインチーズについて」:羊乳(マンチェゴチーズ他)、山羊乳(イボレス他)、牛乳(テティージャ他)、混乳(イベリコチーズ他)

スペインチーズの歴史

チーズ熟成庫

チーズの歴史は古く、人々が定住し農業や牧畜を始めた頃から始まったと言われています。イベリア半島で最初にチーズが作られたのは、おそらくピレネー山脈地帯に新石器時代の文化が根付いた頃であろうと思われます。新石器時代のものとして発見された遺跡の中に、カードを取り除くために使われたと思われるカゴらしきものが見られるのがその証と言えるでしょう。既に、牧畜者たちは、熱した石で乳を温める習慣を持ち、衛生面-乳の殺菌-と味覚面-乳に甘みを持たせる-という2つの役割を持つこの習慣は、現在にまで受け継がれています。

その後、様々な文化が入ってくると共に、塩漬け、圧縮などの技術が持ち込まれ、味と共に保存技術も向上しました。ローマ時代、イベリア半島のチーズをローマが輸入していたという記録も残っています。中世以降、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼で、長期にわたり旅を行う人々にチーズが供給されることにより、その巡礼路となる北部のチーズが広まる機会となりました。 イスラム統治時のアラブ文化の影響は、牧羊に重要な影響を与えました。農民たちは羊を所有し、その肉と乳を食糧とし残ったチーズで、”自家製チーズ”を作るようになりました。

バラエティー豊かなスペインチーズ

20世紀に入り、近代化により樽や熟成庫など設備の面でも衛生管理がされるようになりましたが、その一方で、食料品チェーン店などの発展と需要の増加に伴い、個々のチーズが模倣されたり、画一化、標準化されるなど、従来の高品質なチーズの存在が危惧されることも出てきました。そのため、DOP(原産地呼称保護)などにより、その正統性の保護のための活動がされています。また最近では、伝統に基づいたチーズ作りへの関心が高まり、失われつつあったチーズを復活させたりしており、スペインの各チーズはその独創性を維持しています。

スペインチーズの特徴

地域

スペインチーズの特色の1つが、その地域性にあります。そのバリエーションの多さは、歴史に加え、スペインの気候と風土が要因となっています。

スペイン北部:緑のスペイン

半島北部は湿気が多く、“緑のスペイン”とも呼ばれています。緑茂る山と渓谷はチーズ作りに適していると言われ、スペインチーズの約半分が北部で作られています。特に北西部はその豊かな牧草地が有名で、牧牛が盛んです。深い山間、渓谷という地理的特徴から、それぞれの村で独自に作られるチーズが多く見られます。北東部のバスク、ナバラといった地域では羊乳の文化が保護されてきたこともあり、北部でも羊乳の素晴らしいチーズが作られています。

スペイン沿岸部:地中海スペイン

さらに東部、ピレネー山脈へ進むと、山羊と羊が混在するようになってきます。またこの地域は、80年代に始まった“田舎に戻り、その土地の伝統と資源を生活の糧にしよう”という若者たちの運動により、消滅しかかっていた昔からこの地方で作られていたチーズの復活に努めています。
山羊は、厳しい環境下でも適応できるため、山間で飼われており、季節移動させやすいように、小規模な牧場が多い傾向があります。特に地中海沿岸部の豊かな太陽の光、暑さと乾燥が山羊が好む環境と言われています。

スペイン中央部:肥沃な大地

中央部南西部は、大陸性気候でありながら、冬から春にかけては牧草に恵まれます。この広大で恵まれた牧草資源を利用するため、牧羊が積極的に行われていました。
バラエティー豊かなスペインチーズ これら異なる気候、風土とそれぞれの土地が長い歴史の中で受けてきた文化、そして個々の伝統が各地域の村々で多種多様なスペインチーズを生み出しています。それは、使用する乳のみならず、形(円柱、円錐、四角など)、外皮:チーズの外側部分(自然発生のカビ、パプリカコーティング、ワインウォッシュ、ハーブコーティングなど)にも表れています。


ミルク

スぺインチーズが他のヨーロッパ諸国のチーズと異なる点は、年間を通じて豊富にとれる牛乳、山羊乳、羊乳を用いて作られることです。これら原料と、各地域の気候、文化、伝統、技術とのコラボレーションにより、様々なチーズが作られています。

写真:羊-マンチェゴチーズに代表される羊乳

はスペインを代表する伝統的家畜で、ヨーロッパでも英国に次ぐ牧羊国と言えるでしょう。スペイン全土で牧羊が行われています。羊毛の生産が盛んだったころから、羊は、羊毛生産だけではなく、その肉と乳も大いに利用されてきました。スペイン原産のメリノ種、ラチャ種、マンチェガ種などの羊は、その他ヨーロッパの羊と比べ、生産性が高いとは言えませんが、その乳の品質は高く、脂肪分、タンパク質が豊富と言われており、たとえ乳のとれる量が少なくても、チーズづくりに最適であると高く評価されてきました。牧羊を営む人々の高い栄養源として長期保存用に作られてきたため、長期熟成タイプのチーズが多くみられます。豊富な植物が、羊たちにとって調和のとれた自然の牧草となり、乳に特長を与えています。

山羊は主にスペインの乾いた地域で飼われています。 地中海沿岸の太陽の光、暑さ、乾燥した空気は山羊が好む条件を満たしているため、特に多く見られます。野生的なこの動物は、険しい山の中や、起伏に富んだ土地でも、そこに生息するバリエーションに富んだ芳香豊かな植物を食べることができます。これらが、スペインの山羊乳チーズに独特の深いアロマを与えています。

写真:牛

は、スペイン北西部で多く飼われています。大西洋気候で湿度の高いこの地域は、涼しく降雨量も多いため、緑豊かな草原、高原などの牧草地が牛の理想的な飼料となります。この地域原産の牛が多く、その乳は、とてもクリーミーでコクがあります。山間部のそれぞれの谷や村で作られていたチーズは、ローカル性が高く、小ぶりなものが多い傾向があります。

そして、3種の乳が年間を通してとれるスペインならではのチーズが、羊・山羊・牛の混乳チーズです。昔から身近に3種の乳があったため、それぞれの特徴を活かして、3種あるいは、これらのうちの2種を使ったチーズが作られています。それぞれの乳の特徴を熟知しているからこそ、また、積み重ねられた経験があるからこそ、素晴らしい混乳チーズが存在しているのです。

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